『超頭脳シルバーウルフ』
講談社
少年マガジンコミックス
原作・金成陽三郎
漫画・越智辺昌義

独断あらすじ

黒髪で発育途上のまだ輪郭も定まらない中学生。
友達にいいように言いくるめられ、利用される要領の悪い14歳。
子供っぽい童顔だから必要以上になめられる。

自分でもそのことを自覚していて、実は内心、憤っている。
しかし「僕かしこくないし」と自分なりに自分の分をわきまえ、
おとなしく生きている。

そんな不破耕助(ふわ こうすけ)が主人公。

父親である考古学者・不破教授は彼が4歳のとき死亡。
そのため非常なファザコンであるが、本人に自覚はない。

つつましく暮らしている耕助だったが、
狂暴な古代人や狂暴なアメリカ人に
たびたび襲われ、ついにブチ切れる。

温厚なはずの耕助が、態度も言葉づかいも、知識も振舞いも、
なにもかも別人のように豹変する。
そのあらゆる分野にわたる知識、すべてを見透かす英知。
それが現在はおろか、かつて地球上のどの時代にも例を見ない、
銀髪の超頭脳だ。

超頭脳、つまり脳機能が高い状態。

「あんたには二度にわたって世話になったんだがな。
じっくりお礼もできないまま…残念だよ!」

誰のためでもなく、頼まれたわけでもなく、超古代文明のトラブルに
巻き込まれては平然と立ち向かい、謎を解いて帰ってくる。

「まァそれ以上は説明してもおまえの頭じゃわからんだろう」

彼にとっては自分がわかるのがあたりまえ、ほかの人には
わからないのがあたりまえ。
なのでどう正しいか、皆にわからせて自分を正当化しようという
努力がまるでない。

だから正義がどうとか、どうしなければいけないとか、
うざったい道徳を振りかざさない。

うるさくなくて良い。

「彼は神か・・・それとも悪魔!?」

などと詮索されるシーンがあるが、本人にとって
そんなことどーでもいいのである。

神という存在がいるとしたら、本当にこんなかもしれない。
この世に起こる事は偶然と必然の絡まり合い。
誰かの責任、などと決めつけてもしょーがない。世の中そんなもん。

耕助は分かっているのだろう。 
だから、どんなことも他人(含・悪人)のせいにしない彼の精神性は、
見ていてホレボレするのである。

他人のせいにしないから、よほど怒らせない限り悪人も裁かれない。
だから一度やりあった相手もその後の行いによっては
耕助の友だちになったりする。

コンピューター操作の天才・周昇竜などはその例。

彼は奇門遁甲の遣い手。耕助に身動きできなくなるツボを突くなど多芸。
拳法の達人でもある彼のコードネームはマーキュリー。

耕助の前に敗北を見とめた彼は、すんなり友人としての位置に収まるが、
「ンナロー、いいかげん怒ったぜ!」
耕助をムカッとさせた人たちはけして生き残らないので要注意。

「天才のこのオレにできないはずないだろう」
言い放つ超頭脳様。すべての危難は計算と応用で乗り越える。
反論する人間はいない。

ねじ伏せられてしまう勢いがキモチイイ。

そして、そうは見えないが、銀髪のときはとても
好戦的、なのだ。
銀髪の彼と互角に戦える相手など、そうそういるはずもなく、
超頭脳さまはずっとヒマして寝ておられた。
が、あるとき、突然、運命の相手に出会うのである。

世紀の天才であることを公式に認定された、
NASAを指示下に置き、
アメリカ空軍を足代わりに使う
ケント・シュナイダー。14歳。
耕助と同い年だがすでに大学を卒業。いまは大学教授である。

ひとめ見て耕助はケントを気に入る。いやそうは書いてないが
気に入ったとしか思えない。

「こいつが居れば退屈しないですむ。手加減しないで全力で楽しめる」
くらいのことは考えただろう。
黒髪の無力なとき散々な目に遭わされるが、とくに禍根を残してない。
それはまるでお兄ちゃんたちの遊びに混ぜてもらうために
多少の理不尽な扱いを不問に処す弟みたいな図だ。
根底にはファザコンがある。
ファザコンとはもともと庇保護欲のことであり、ねらいどおり耕助はケントに庇われまくる。

その後、ケントも耕助を頼りアテにするようになって
二人は見事に精神的に非常に密着した擬似恋愛状態に突入。

最後は二人だけでこの世から離脱。

それを見届けるのが周昇竜である。

物理、歴史、トンデモ、精神構造、どこから切り取っても興味深く、
まだまだ見どころを探せそうな一作である。


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東京支部 2002年1月4日開設

レクテッカンボウコンタ

最終更新2004年7月13日