印象記 

ドイツと日本は1945年昭和20年に共に第2次世界大戦における敗戦国となってしまった。しかし、復興の仕方に残念ながら大いなる差がある。ドイツは自国の伝統と文化にいささかの影響ももたらせなかったのではないかとどうしても思えるのに、日本はいささか民主主義とやらに振り回され、未成熟なままに影響だけは極めて大きいという結果になってしまったという偏見を持っている。特に教育問題は致命的とも言える痛手を受けてしまったのではないか。その荒廃は進むばかりで改善されない。持論である文明と文化の違いをこんなに明白に現してしまったのは残念でならない。時代の進化、これは当然歓迎されるべき現象であり、この半世紀の文明の進化は驚異的である。しかし、それが必ずしも人々に幸せをもたらしたのかは難しい。利便性は確かに驚くほどの進展を見せたが、その裏に必然的に生まれる「心」に対しての影響については、配慮が万全であったかの疑問が大いに残る。文化はその「心」に潤いを与えるものであるがスピ-ドがまるで違い、潤う前に文明が遥かに先行してしまったので逆に荒廃に連がる可能性の方が大きくなってしまった。その点ドイツは静かな國と言う印象が大きかった。一度行ったくらいで判るわけはないが、途次に見た集落の佇まいなどを含めて騒々しさは余り感じなかったのである。ライン川のほとりに建っている古城などは心に染み入ったまま記憶から一向に去らない。街々の印象も建物もまるで趣の違うもので未だに心の底にある。訪ねたどの國も大好きだがドイツだけは特別のような気がする。それほど印象が強かったのであろう。日本の復興は経済が先行した。精神性がなおざりにされたまでは思わないにしても、教育行政の一貫性のなさにはいささか問題が残る。現場で教育に携わっている人々の健康は、倒れる一歩手前まで追い込まれているのではないかと案じられてならない。毎日、新聞で報じられている殺伐で胸が痛くなるような事実は、幼児教育を始めとして家庭教育の至らなさから来た問題のように思えてならない。どうか私の寶である孫達の将来に希望を抱かせて欲しいとは心からの叫びである。友人の娘さん夫妻が今世界、特にアジアから中近東にかけて放浪とも言える旅を続けながら、現状を透徹した眼で記録している旅日記を、最近読む機会があったが、こういう若者の存在も多く聞く。将来こうした若者たちが更に成長して救国の士にならないと誰が言えるだろう。「豊饒」これは一体なにを意味しているのか。豊かさにも危機感にも連がる深い意味を持っているように思えてならない。世界で活躍している人々に共通しているのは、総てハングリ-精神と言う点で同じではないか。そういう意味ではドイツとて同じ危機感を内包しているに違いないが、未来に対する静かな闘志だけは感じて帰ってきた。雑然たる町より、遥かに自然な美しさを満喫してきた今回の旅は極めて充足した旅であった。

 

 

 

私の略歴

 

          コ-ヒ-で一服

藤波曽川(ふじなみ そせん)

専門  漢字 篆刻
昭和12年1月28日東京生(1937)
二松学舎大学卒

師系 阿部鉄蕉  
資格           読売書法会理事
太玄会理事長
菅菰会副会長
足立区文化団体連合会相談役
足立区書道連盟名誉会長
日本書人会芸術顧問
菁莪書院主宰
                         足立区文化功労者

Eメ-ルアドレス
 sosen@adachi.ne.jp

 

私の旅行記 

 

              静かな街

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行くところ全てが新鮮で美しいのは、未知の国だから当然であろうが、その国が持つ歴史の重さと風土にはいつも圧倒される。他国から日本に来れば同じ思いをするに違いないが、この絶え間ない見聞が私にはどうしても必要なのである。結果が自分を養うに至らないまま終わるとしても、たった今には必須条件である。これは旅に限らずましてや外国旅行に限ったことではなく、身の回りにある事象全てがその条件にあてはまる。その一つに音楽があるが、私には一つの欠陥があって、音楽ならラテン音楽、そのうちのトリオでなければならないし、もっと言えばレキントという特殊ギタ−を中心にした3っつのギタ-と3人のコ-ラスがなければならない。釣りなら中流に住むハヤ(学名ウグイ)かヤマベ(学名オイカワ)でなけばならないという狭さがいつも災いする。これはそのまま旅にもあてはまってしまい、今は外国旅行に偶々なっているのだが、その経緯はかって書いたので省く。しかし現在の経済情勢と治安状態では、それも自由にはいかないという寂しさをかこっている現在である。

 

 

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