私が愛犬(レックス)を購入したのは千葉県にあるブリーダーさんからです。  
当時2ヶ月にも満たないレックスは精悍?と言うよりも、しわくちゃで可愛いぬいぐるみみたいでした。

耳が異常に大きく、まるでダックスフンド(笑)
テレビなどで見るような勇ましいドーベルに成長するなんて想像もつきませんでした。

当時、レックスを連れて散歩していると、近所でラブラドールを飼っているご婦人が酷い事を言ってきました。

あなた、何でドーベルなんかを買ったの?これは凶暴な犬なのよ!飼い主にだって噛みつくような犬なんだから!訓練にはいつから出すの?

何も知識の無かった私は「
訓練に出す予定はありませんが・・・」と言うと、

ご婦人は
あら、駄目よ!他の犬にも危害を加えるし、人間にだって襲いかかるんだから!

私は正直言ってムッとしましたが、敢えて反論はしませんでした。
しかし、そのご婦人の一言がきっかけで私は自分の力だけで育て上げる事を決意。
色んな書物を読み漁り、更に色んな犬のオーナーの話を聞き、その中から良いと思われる事をすべて実行してきました。

レックスが生後3ヶ月になる頃、柴犬の大きさを上回り、6ヶ月になるとすでに一般の犬達よりも大きく成長。
毎日少しでも一緒にいる時間を作ってあげ、目一杯可愛がり・・・・そのかわり怒るときは徹底的に!
更に成長期には出来るだけ沢山の人間にさわって貰うように心がけました。
もちろん他の犬、そして家で飼っている猫とも遊ばせました。

レックスが1才を迎えた頃には本当に穏やかな性格に育ちました(^_^)v
誰が触っても、どんな犬が近くに来てもジーっとお座りして待機しています。だから私はレックスを買い物に連れていっても平気でそこら辺の杭に繋いでおきます。
レックスは初対面の方や小さな子供などに叩かれても吠えたり怒ったりしません。

病院へ予防接種などを受けに行く時も先生が注射針を手に持っていても私が
ジャンプ!」と言えば診察台の上に飛び乗りジーッと私の目を見続けます。そして私が「ヨシ!」と言うまで針を刺されても、おすわりしたままです。

ドーベルマンでありながら何故こんなにおとなしいのか?私はプロの訓練士では無いので理由はわかりませんが、多分・・・私の飼い方と言うよりも、誰かに虐められる事も無く、のんびりとした環境で育てる事が出来たからだと思います。

そんなある日、ラブラドールを連れたご婦人と再会。
ご婦人が連れたラブラドールはレックスに向かって猛然と吠え、戦闘態勢(どっちが凶暴なんだか)
逆にレックスはキョトンとした目でラブラドールを見ています。

このご婦人・・・数ヶ月前までは「
訓練に出さないと危ないわよ」などと騒いでいたくせに、レックスを誰が触っても怒らないと知ると今度は・・・
随分とおとなしいのね、でも訓練に出さなかったのは失敗よ!こんなにおとなしかったら番犬にもならないわよ!

私は心の中で「この人喧嘩を売っているのだろうか?」と思いましたよ(-_-;)
レックスだって大した取り柄はありませんが、そのご婦人が連れているラブラドールだって立派とは言えません!確かに訓練に出したせいで飼い主の横に付いて歩いていますが、散歩と言えば飼い主と一緒に徒歩だけで、走ることをさせていないんですよ。
だから丸太のような肥満体・・・
しかし、それ以前の問題として、ご婦人は犬が自分の思い通りにならないともの凄い叱り方をするんです!まるで親の仇のように棒でめったうち!それも永遠と(T T)
犬は立派な家族なのに・・・これでは奴隷ですよ(-_-;)

ある日、私も心配になった事がありました。
もしかすると私の育て方には間違いがあったのでは?と・・・
こんなに穏やかな性格に育ってしまったレックス・・・もしかすると本当に番犬にならないかも(-_-;)

しかし、それから数ヶ月後、そんな不安を一気に消し去ってくれる出来事がありました。

私がいつものようにレックスを連れて散歩をしていると、前から歩いて来る老婆が転んでしまったんです!
それと同時に買い物カゴに詰め込まれた食品も散乱!
老婆は膝を打ったらしく横たわったままです。
私は見ていられずに手伝う事にしました。
レックスはちょっと離れた所にガードレールがあったので、リードを繋いでおきました。
そして老婆の所へ駆け寄って抱き起こしてあげ、散乱した食品を一緒に拾い集めてあげました。

その時です!一匹の犬(雑種)が近寄ってきました。

*この辺は河川敷が近く、犬を散歩に連れてくる人が多い上に、未だに捨
てられた野良犬も時折見かける場所なんです。

そして老婆が肉の包みを拾い上げようとした時、犬が先にくわえてしまったんです。
老婆は犬が嫌いなようで・・・いえ、それ以前の問題として家族に届ける食材を取られてはなるまいと、「
シッ、シッ、駄目よこれは、放しなさい」と、包みを引っ張り返そうと・・・その直後に発した犬のうなり声を聞いた私は「危ない!」と直感しました。
その犬は今にも老婆に噛みつきそうなうなり声をあげているんです。

私はすぐに老婆の代わりに包みを掴み、犬に「
マテ!」と脅かしたつもりが逆に犬を怒らせてしまったんです。
私が無理矢理包みを取り上げた瞬間、犬は私めがけて飛びついて来ました。
この時思いましたよ。人間なんて弱い生き物なんだなと・・・
犬が飛びついて来た瞬間、私には何をする事も出来ませんでした。
その犬の大きさはシベリアンハスキーより少し小さい程度ですが、噛みついて来る時ってもの凄く早いんですよ。
避ける暇などありません!(犬に噛まれた事のある人ならわかって貰えますよね)
 
野良犬は私の肘の所を噛んだまま・・・
幸い厚手のジャケットを着ていたとは言え、滅茶苦茶痛かったです!

次の瞬間信じられない出来事が・・・
何と繋いでおいたはずのレックスが、野良犬めがけて猛然と襲いかかったんです!
私は自分が解放された事よりも、今度はレックスの事が心配に・・・
ところが数秒後にはそんな不安は消し飛びました!
レックスの攻撃が一方的なんですよ(^ ^;
一瞬にして野良犬は逃げて行きました。
怒りの収まらないレックスは追いかけていきましたが、すぐに私の所に戻ってきました。
気が付くとレックスのリード(直径2センチほどのロープ)が噛み切られているでは無いですか!
私は犬に噛まれた痛さでは無く、リードまで噛み切り、必死になって飼い主を守ろうとしてくれたレックスを抱きかかえて感激の涙を流してしまいました(T T)

多分・・・どんな犬にも飼い主を守ろうとする本能はあると思いますが、ドーベルに秘められた戦闘力には改めて驚かされました。

そして、もうその日からは誰にも「番犬にならない犬」だなんて言わせません。
私にとってのレックスはペットではなく、命をかけて私を守ってくれる最も信頼できるパートナーなのですから。